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「もしドラ」は史上最悪のクソ本

前言撤回。

父は死にそこないの軍国少年で、子どもたちに号令をかけさせながら行進の練習をさせて悦に入るようなキチガイだった。これが大前提。

私はその思想からの脱却を「自律」の概念に求め、中2で生徒会長になったとき、校則を半分以上削除した。しかし与えられた自由に困った生徒たちは、相互に服装を監視したり、昔の校則を持ち出して当てはめたりした。そんなとき図書館で見つけたのが、エーリッヒ・フロムの「自由への逃走」【1】。ワイマール憲法下のドイツ人は、自由に耐えかねてナチスの全体主義にすがったのだ(確かそんなような本だったはず)。これを読んで自分がやったことは間違いと考えた私は、人の前に立つことを拒否するようになった。

その反動で、個人に対するいかなる制約にも拒否感を抱くようになり、高校のときポール・ヴァレリーの「純粋および応用アナーキー原理」【2】を読み、「アナーキーとは証明不能なものの命令に服従することを一切拒絶する各個の姿勢である」という言葉に感銘を受ける。
しかし、その後も個人と集団、およびそれをつなぐ政治的な要素の存在については否定しきれず、しょうがないからプラトンとか読んでいた。

会社に入ってから、ドラッカーの「マネジメント」と「現代の経営」【3】を読み、その政治的要素を取り敢えずマネジメントと呼べばいいということを教わった。その後、さまざまな経験を通じて、理論と実践との間には深い溝があることと、マネジメントは結局は手段であり、結果を出すことが重要であることを知った。

そんな私にとって、言うまでもなく「もしドラ」は史上最悪のクソ本だ。(←これが本題)

このような流れを書くと、以前の概念が、あるものによって置き換えられているように見えるが、「AからBへ」という分かりやすい構図で物事を捉えることの愚かしさを、蓮實重彦の「私が大学について知っている二、三の事柄」【4】によって気付かされた。いわば【1】~【3】を俯瞰するような視点だ。

えー、あと一個は、さらにこれらを俯瞰するような思想で、作曲家ストラヴィンスキーの、まさに朝令暮改のような変わり身の速い生き方【5】そのものが、私の価値観全体を貫いている。という言い方が大げさなら、そのような変わり身の大きな生き方を理想としている。

「おれに影響を与え、価値観を決めてしまった5つの表現」だと?

風呂に入ったら、いしたに@みたいもん!(@masakiishitani)の「おれに影響を与え、価値観を決めてしまった5つの表現」が頭に浮かんでしかたがない。こういう企画、死んだ安原顕がむかし角川文庫とか「リテレール」とかで、よくやってた。

でも、だめなんだよ、こういうの挙げちゃあ。固定化するから。流動化させとかないと。でも、面白いことは面白いんだよなあ。

J.S.バッハ「ゴルトベルク変奏曲」、F.プーランク「六重奏曲」、C.ドビュッシー「選ばれし乙女」、I.ストラヴィンスキー「春の祭典」、武満徹「弦楽のためのレクイエム」

だからダメだって。そんなことしたら、ブラームスもバルトークもベルクも入らないじゃん。3Bが入らないランキングなんて!(違うか)

そうか、いしたにを真似て、時系列にすればいいのか。

(小学校)「南総里見八犬伝(子ども向け)」
(中学校)「吾輩は猫である」
(中学校)E.フロム「自由への逃走」
(高校)「ユリイカ別冊・ダダイズム」
(大学)M.ブランショ「文学空間」

違うなあ、なんか違う。ある意味でそうなんだけど。

「南総里見八犬伝(子ども向け)」
「方丈記」
「梁塵秘抄」
「曾根崎心中」
「雨月物語」

ん…、意外と違ってない感じもするぞ。

D.ノゲーツ「レーニン・ダダ」
中沢新一「野ウサギの走り」…じゃなくて「虹の理論」
浅田彰「逃走論」…じゃなくて「ヘルメスの音楽」
蓮實重彦「表層批評宣言」「反―日本語論」「小説から遠く離れて」…じゃなくて「齟齬の誘惑」
柄谷行人「日本近代文学の起源」…じゃなくて「探求Ⅰ、Ⅱ」

これも近いけど、単にいっとき手許に置いて、繰り返し読んでいたというだけ。

R.バルト「明るい部屋」

自分では気がついていないけど、実はこの世界をさまよっていて、いまだに出られていないのかもしれない。だとしたら、1冊だけかな。

江藤淳「夏目漱石」

この本を読むとき、いつも「あなたは私か」と思う。でも、影響されたというよりかは、奇妙な既視感。

うーん、高校時代に、もうちょっと転機があっただろうよ。

中井正一「美学入門」

筒井康隆や椎名誠のも、やや距離を置きながら、けっこう好きで読んだ。

高橋源一郎「さようなら、ギャングたち」

でも、記憶力弱いし、過去のことは基本的に水に流すというか、常に脱皮した皮みたいな感覚があるから、思い出したくない。

ビートルズ「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」

あ、ジミ・ヘンドリックスね。おれは天才じゃなくて、それも天才ってのは概念的なものではなくて実在するんだ、という衝撃かね。

あ、映画、挙げてないか…。
ジャームッシュ?ホウシャオシェン?黒澤明?
ここで、小津安二郎の「晩春」は外せないとなると、ゴダールだのフェリーニだの、「ひまわり」だの、タルコフスキーだのは、どうなるわけ?

荒木経惟「センチメンタルな旅・冬の旅」

結局、網羅的に確認しようとする自分の嫌らしさだけが残るね(コメディ映画とか、美術関係とか、まだぜんぜん着手してない分野もあるけど)。

そもそも、何が自分の価値観なのか、他者との衝突がないと分からないじゃない。

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